「さっきの言葉、ちょっと傷ついたな」
利用者さんへの対応が終わったあと、そんな気持ちになったことはありませんか?
- 丁寧に声をかけたのに強く拒否された
- 何度説明しても伝わらず疲れてしまった
- 自分の対応が悪かったのではないかと考える
- 次の介助に入るまで、気持ちを切り替えられない
- 利用者さんの前では笑顔でも、内心はイライラしている
介護職は、身体を使うだけでなく、相手の気持ちを考えながら働く仕事です。
私は特別養護老人ホームで20年間勤務し、夜勤を1,500回以上経験してきました。
現在もグループリーダーとして介護現場で働いています。
20年働いて感じるのは、

介護技術を身につけること、自分の感情とうまく付き合うことは別の難しさがあるということです。
利用者さんに優しく接したい。
でも、自分だって傷つくことがある。
今回は、そんな介護職のメンタルについて、日々のケアで感じやすい感情と、気持ちの整理方法をお伝えします。
「辞めるか続けるか」ではなく、今の仕事を続けながら、自分の心を必要以上にすり減らさないための話です。
※無理な勧誘なし
※顔出し不要(Zoom音声のみOK)
※途中でやめてもOK
※相談内容は外に漏れません
介護職のメンタルが疲れるのは、感情を切り替える場面が多いから
介護現場では、利用者さんの状況に合わせて、自分の気持ちを切り替えなければならない場面があります。



悲しくても笑顔で接し、悩みながらも仕事を続けなければなりません。
こうした、仕事の中で求められる感情の調整は「感情労働」と呼ばれることがあります。
特に介護職では、次のような場面で精神的な負担を感じることがあります。


利用者さんの前では自分の感情を抑えることがある
利用者さんから、突然強い言葉をかけられる。
一生懸命に対応していたのに、「もう来なくていい」と言われる。
そんなとき、悲しさや怒りを感じるのは自然なことですが、
介護職として、感情を相手にぶつけるわけにはいきません。
その場では落ち着いて対応する。
でも、心の中にはモヤモヤが残っている。



感情を表に出さずに対応できたことと、心が傷ついていないことは別です。
介助を拒否されると、自分の対応が悪かったと思ってしまう
「お風呂に入りませんか?」と声をかけても、拒否される。
時間を空けてから声をかけても、うまくいかない。
そんなとき、
「自分の声かけが悪いのかな」
と考えてしまうことがあります。
もちろん、声かけや介助方法を振り返ることは大切です。



ただ、利用者さんの反応には、体調や気分、環境、痛みなど、さまざまな要因が関係している可能性があります。
拒否されたという結果だけで、自分の介護技術や人間性を評価する必要はありません。
一生懸命に関わっても、結果が見えにくいことがある
- 何度も声をかけた
- 相手の気持ちを考えて対応した
- それでも、思うようにいかない
介護では、頑張ったからといって、必ずしも望んだ反応が返ってくるとは限りません。
だからこそ、



「うまくいかなかった結果」だけでなく、「何を考えて対応したのか」も振り返ることが大切です。
利用者さんへの対応で心が疲れたときの4つの考え方
ここからは、介護現場でよくある場面をもとに、気持ちを整理する方法を紹介します。
どれも利用者さんの安全と尊厳を守ることを前提とした考え方です。
① 強い言葉をかけられたら、言葉と自分の価値を切り離す
例えば、利用者さんから、「あなたなんて嫌い」と言われたとします。
その言葉を聞けば、傷つくこともあります。



ただ、その一言だけで、「自分は介護職に向いていない」と考える必要はありません。
- 痛みや不快感があった可能性もあります
- 利用者さんが不安を感じていたのかもしれません
もちろん、理由が分からないこともあります。
大切なのは、相手の言葉をそのまま自分への評価として受け止めすぎないことです。
私自身、利用者さんから強い言葉をかけられたときは、一人で対応を続けないようにしています。
強い言葉を受け続ければ、介護職だってつらくなります。
そんなときは、
ほかの職員に対応を代わってもらうこともあります。
対応する職員が変わると、利用者さんが強い言葉を使わなくなる場合もあるからです。


また、ただ交代するだけでなく、なぜ強い言葉が出たのかを考えることも大切にしています。
痛みや不安、環境への不満などが関係している可能性もあります。



大切なのは、我慢して対応し続けるのではなく、利用者さんの気持ちを考えながら、自分自身の心も守ることです。
② 介助を拒否されたら、理由と状況を考える
入浴や更衣などを拒否されたとき、「どうすれば介助できるだろう」と考えることは大切です。
ただ、それだけに集中すると、職員側の都合で対応を進めてしまうことがあります。
例えば、
- 今は介助を受けたくないのか
- 身体に痛いところがあるのか
- 説明が分かりにくかったのか
- 周囲の環境が落ち着かないのか
- 別の時間なら受け入れられるのか
私は認知症の方から介助を拒否されたとき、無理にその場で進めようとしないことを意識しています。
例えば、



入浴を拒否された場合、緊急性がなければ時間をおいて、改めて声をかけることがあります。
また、ほかの職員に対応を代わってもらうこともあります。
職員が変わることで、介助を受け入れてもらえる場合もあるからです。
ただし、私が特に大切にしているのは、
職員本位の介助になっていないか
と振り返ることです。
- 決められた時間に終わらせたい
- 次の業務があるから早く進めたい
そんな職員側の都合を優先して、利用者さんの気持ちをないがしろにしていないでしょうか。



介助を拒否されたときこそ、利用者さんの立場で考え、関わり方を見直すことが大切だと思っています。
③ 同じ訴えが続くときは、言葉の背景にも目を向ける
認知症の方への対応では、同じ質問を繰り返されることがあります。
説明した直後なのに、また同じことを聞かれる。
何度も対応していると、気持ちに余裕がなくなることもあるでしょう。
そんなとき、
ただ同じ説明を繰り返すだけでは、状況が変わらないことがあります。
例えば、「家に帰りたい」という言葉にも、さまざまな背景が考えられます。
- 家族に会いたいのかもしれません
- 場所が分からず不安なのかもしれません
- 落ち着ける場所を探している可能性もあります
もちろん、本人に確認しなければ分からないことも多くあります。



そのため、訴えを一つの意味に決めつけず、表情や行動、そのときの環境なども含めて考えることが大切です。
「また同じことを言っている」だけで終わらせず、
「何を伝えようとしているのだろう」
と視点を変えてみる。
それが、利用者さんへの理解を深めるきっかけになることがあります。
④ 対応を後悔したら、事実と自分の評価を分ける
- 声かけがうまくいかなかった
- 少しきつい言い方になってしまった
そんなとき、
「自分はダメな介護職だ」
と考えてしまうことがあります。
でも、ここで分けて考えたいことがあります。



対応に改善点があることと、自分自身の価値は別だということです。
例えば、
「声かけのタイミングが早すぎた」という振り返りなら次の対応に活かせます。
一方で、
「自分は何をやってもダメだ」と考えても、具体的な改善にはつながりにくいものです。
必要な報告や謝罪、事故対応などは確実に行う。
そのうえで、次に変えられる行動を考える。
失敗をなかったことにするのではなく、必要以上に自分を否定しないことが大切です。
メンタルを引きずらないために「事実・感情・次の対応」を分けてみる
介護現場で嫌なことがあったとき、頭の中だけで考えていると、同じ出来事を何度も思い出してしまうことがあります。



そんなときに試してほしいのが、出来事を3つに分ける方法です。
① 事実|実際に何が起きたのか
まずは、
起きた出来事だけを整理します。
例えば、
入浴を勧めたところ、「今日は入りたくない」と言われたという状況です。
ここには、自分の評価や推測を入れません。
② 感情|自分はどう感じたのか
次に、
そのとき感じた気持ちを考えます。
- 予定が進まず焦った
- 拒否されて悲しかった
- 何度も声をかけるのが負担だった
などです。
感情を無理に前向きな言葉に置き換える必要はありません。



自分が何を感じたのか、そのまま認識することが大切です。
③ 次の対応|何を確認し、どう関わるか
最後に、
次の対応を考えます。
例えば、
- 痛みや体調を確認する
- ほかの職員と対応方法を相談する
- 本人が希望する時間帯を聞いてみる
など、具体的な行動にします。
この方法は、次のように整理できます。
| 分ける項目 | 記入例 |
|---|---|
| 事実 | 入浴を勧めたが、本人が希望しなかった |
| 感情 | 予定が進まず焦りを感じた |
| 次の対応 | 体調と希望を確認し、チームで対応を検討する |
こうして分けてみると、「自分が悪かった」という漠然とした考えから、実際に確認できることや次の行動に意識を向けやすくなります。
なお、個人で気持ちを整理するメモには、利用者さんが特定される情報を書かないようにしてください。



業務上必要な情報は、施設の規則に従い、正式な記録や申し送りに残しましょう。
※無理な勧誘なし
※顔出し不要(Zoom音声のみOK)
※途中でやめてもOK
※相談内容は外に漏れません
職員間の申し送りは、自分の気持ちと利用者さんの情報を分けて伝える
介護現場では、対応が難しかった利用者さんについて申し送ることがあります。
そんなとき、疲れていると、
「○○さん、今日は本当に大変だった」
という伝え方になってしまうこともあるでしょう。
気持ちを共有すること自体は悪いことではありません。



しかし、申し送りでは、次に対応する職員が状況を理解できる情報が必要です。
①「大変だった」だけで終わらせない
例えば、
「今日はずっと落ち着かなかった」という申し送り。
これだけでは、次の職員は
具体的に何が起きたのか分かりません。
一方で、
「昼食後から何度も居室を出て、廊下を歩かれていた」
と伝えれば、
状況がイメージしやすくなります。
さらに、
「声をかけた際には、家族に会いたいと話されていた」
「椅子に座って話を聴いたときは、表情が穏やかになった」



といった事実も共有できれば、次の対応を考える材料になります。
②感情を否定せず、必要な情報へ整理する
申し送りでは、次の3つを意識すると整理しやすくなります。
- 利用者さんにどのような様子が見られたか
- どのような対応を行ったか
- その後、どのような変化があったか
必要な安全上の注意点や継続対応も伝えます。
私が大切だと考えているのは、



一人の職員が感じた大変さを、次の職員が適切に対応するための情報に変えていくことです。
個人の気持ちだけで抱え込むのではなく、チームで検討できる形にしていく。
これは、利用者さんへのケアを考えるうえでも大切なことです。
気持ちを切り替えられない日があっても、無理に笑顔をつくらなくて大丈夫
ここまで、介護現場での気持ちの整理方法を紹介してきました。
ただ、どんなときでも気持ちを切り替えられるわけではありません。
- 強い言葉を受けて、傷つくこともある
- 利用者さんの対応がうまくいかず、落ち込むこともある
それでも、介護職だからといって、自分の感情を否定する必要はありません。



大切なのは、感じた怒りや悲しみを、そのまま利用者さんへ、ぶつけないことです。
気持ちに余裕がなく、安全な対応が難しいときは、ほかの職員に交代をお願いしましょう。
一人で抱え込まず、上司に相談することも大切です。
強いストレスや不調が続く場合は、専門の相談窓口を利用しましょう。
グループリーダーとして大切にしている「否定せずに聴くこと」
私は現在、特別養護老人ホームでグループリーダーをしています。
職員が利用者さんへの対応で悩んでいるとき、まず大切にしているのは、相手の話を否定せずに聴くことです。


例えば、
- 今日の対応は本当にしんどかった
- 何度声をかけても拒否されてつらかった
そんな気持ちを話してくれたとき、最初から正論を伝えるのではなく、まずは話を聴くようにしています。



つらい気持ちを話している職員が、必ずしもすぐに答えを求めているとは限らないからです。
もちろん、対応に改善すべき点があれば、一緒に振り返ることも必要です。
ただ、その前に、
- 何がつらかったのか
- どんな気持ちだったのか
を受け止めることを大切にしています。
悩みを否定せず、まず話を聴く。そして、必要であれば次の対応を一緒に考える。
これは、介護職『よりそい』サポートでも大切にしている姿勢です。
自分の工夫だけで解決できないときは、職場環境にも目を向ける
利用者さんへの対応で気持ちが疲れたとき、自分なりに関わり方を工夫することは大切です。
しかし、どれだけ工夫しても、一人では解決できない問題もあります。
例えば、
- 困ったときに相談できる職員がいない
- 利用者さんへの対応方法が職員によって異なる
- 人手不足で一人ひとりに十分な時間をかけられない
- 対応が難しい場面でも職員同士で協力できない
こうした環境では、介護職一人の努力だけで心の負担を減らすことは難しいものです。
私はグループリーダーとして、職員が悩みを相談できる環境も大切だと考えています。



介護職が安心して働くためには、本人の工夫だけでなく、職場全体で支える仕組みも必要です。
もし今の職場で改善が難しいと感じているなら、ほかの施設の働き方に目を向けてみるのも一つの方法です。
施設によって、職員同士の連携方法やケアの方針、勤務体制は異なります。
今の職場だけが、介護職として働ける場所ではありません。
すぐに転職する必要はありませんが、ほかの職場を知ることで、自分に合った働き方を考えるきっかけになるかもしれません。
介護職向けの求人を調べたい方は、転職支援サービスを活用する方法もあります。
ただし、求人情報だけで職場環境のすべてが分かるわけではありません。



大切なのは、今の職場で続けることも、別の環境を選ぶことも、自分自身が納得して決めることです。
介護職のメンタルの悩みを、一人で整理するのが難しいときは
利用者さんへの対応に悩んだとき、
「こんなことで落ち込む自分がおかしいのかな」
と思うことがあるかもしれません。
でも、介護職としての経験が長くなっても、難しいと感じる場面はあります。
私自身、特養で20年間働き、認知症ケアや新人育成などに関わってきました。
介護技術や知識は大切です。



それと同じくらい、自分がどのような気持ちで働いているのかに目を向けることも大切だと考えています。
例えば、
- 自分の感情をうまく整理できない
- 介助を拒否されたことを引きずっている
- 対応がうまくいかず、自信をなくしている
- 介護を続けるために気持ちを落ち着けたい
- 利用者さんに言われた一言が気になっている
こうした悩みでも構いません。
介護職『よりそい』サポートでは、現場経験を活かしながら、今感じていることや、次にどうしていきたいかを一緒に整理します。
無理に結論を出す必要はありません。
まずは、今の気持ちを言葉にするところから始めてみてください。


※無理な勧誘なし
※顔出し不要(Zoom音声のみOK)
※途中でやめてもOK
※相談内容は外に漏れません
※このサービスは、傾聴・悩みの整理・介護現場の経験を活かした相談支援であり、医療的な診断や治療を行うものではありません。
まとめ|介護職のメンタルを守るために、感情と対応を分けて考える
介護の仕事では、利用者さんとの関わりの中で、自分の感情を調整しなければならない場面があります。
- 介助を拒否される
- 強い言葉をかけられる
- 何度説明しても伝わらない
そんなときに大切なのは、自分の気持ちを無理に消すことではありません。
- 拒否された理由を決めつけない
- 必要な情報をチームで共有する
- 起きた事実と自分の感情を分けて考える
- 相手の言葉を自分の価値と結びつけすぎない
- 自分一人で安全に対応できないときは支援を求める
介護現場で働いてきて、私が大切だと思うのは、



利用者さんの気持ちも、自分の気持ちも、どちらも大切にすることです。
自分を責め続けるのではなく、次のケアにつながる振り返りをする。
それが、介護職として働き続けるための一つの心の守り方だと思っています。
※無理な勧誘なし
※顔出し不要(Zoom音声のみOK)
※途中でやめてもOK
※相談内容は外に漏れません








コメント